研究紹介
専門は電波天文学です。
現在、主に南米チリのアタカマ高地に設置されたサブミリ波望遠鏡 ASTE、長野県南牧村の国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡、ハワイ・マウナケア山頂のサブミリ波干渉計(SMA)などを用いて、星形成領域の観測的研究を行っています。
観測している領域はカメレオン座、みなみのかんむり座、ペルセウス座などです。これらの星座には、活発に星を作っている領域(星形成領域)があります。興味のあるトピックは、
- 生まれてくる星の質量がどのようなメカニズムで決まるのか
- 原始星が放出する高速のガスの流れ(ジェット/アウトフロー)が星形成環境にどのような影響を与えているのか
などです。星形成領域の大規模な電波サーベイ観測を行って星の母体となる分子雲コアの分布を調査したり、個々の原始星が放出するアウトフローが出す電波を観測して、それが周囲の分子雲に物理的化学的にどのような影響を与えているかを調べたりしています。これらの研究により、宇宙に存在する(太陽を含む)数多くの星がどのようにして生まれ、この宇宙がどう作られてきたかを理解したいと考えています。
望遠鏡たち
ここでは、これまで研究に使った望遠鏡をご紹介します。SMA (Submillimeter Array: サブミリ波干渉計)
ハワイ・マウナケア山の山頂近く、国立天文台のすばる望遠鏡のすぐお隣にある電波望遠鏡です。口径6mのパラボラアンテナ8台でとらえられた電波をコンピュータ上で合成することで、ひとつの電波望遠鏡として動作させます。アメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学センターと私が所属していた台湾の中央研究院天文及天文物理研究所が共同で運用しています。
ASTE (Atacama Submillimeter Telescope Experiment: アタカマサブミリ波望遠鏡)
南米チリ・アタカマ地方標高4800mのパンパ・ラ・ボラに設置された口径10mの電波望遠鏡です。波長1mm以下の電波・サブミリ波をとらえることができます。国立天文台と日本のいくつかの大学、チリ大学が共同で運用しています。大学院修士課程のころから、このASTEを使った試験観測(アンテナの指向精度や鏡面精度等の調整と確認)と科学観測を何度も行ってきました(チリ渡航も5回)。2011年から観測が始まるALMA望遠鏡の先駆けとして、南天の空をサブミリ波で開拓する重要な役割を持った望遠鏡です。
野辺山45m電波望遠鏡
長野県の国立天文台野辺山宇宙・太陽電波観測所にある口径45mの電波望遠鏡です。観測開始から30年近くたった今も、波長3mmほどの電波を観測できる望遠鏡としては世界最大口径を誇ります。
もっと詳しい研究紹介
- 星の作り方 (執筆中)
- 電波で見る宇宙 (執筆中)